目次
①その怖さ、とてもよくわかります
「駈歩に上がった瞬間、頭が真っ白になってしまいました」
「レッスンで駈歩と言われるだけで、前日から胃がキュッとなるんです」
こういう声を、僕はこれまで本当にたくさん聞いてきました。
僕は乗馬歴19年で、今はインストラクターとして毎週たくさんの生徒さんを見ています。
正直にお伝えしますと、駈歩を怖いと感じるのは、とても自然なことです。
むしろ、怖さをまったく感じていない人の方が、危険に気づいていない場合もあるくらいです。
ですから、まずお伝えしたいのは「あなたは決しておかしくない」ということです😌
駈歩が怖いというのは、あなたに乗馬のセンスがないからでも、根性が足りないからでもありません。
ただ、馬という大きな生き物のスピードと動きに、まだ体と心が慣れていないだけなのです。
僕自身、乗馬を始めて半年くらいの頃、駈歩がとても苦手でした。
インストラクターに「はい、では駈歩どうぞ」と言われるたびに、心臓がバクバクしていたのを今でも覚えています。
そんな当時の私に「怖がるな」と言われても、余計に力が入るだけだったと思います。
ですから私は、生徒さんに「怖がらないでください」とは絶対に言いません。
その代わり、「なぜ怖いのか」「どうすれば怖さが減るのか」を、一緒に丁寧にひも解いていきます。
このブログでは、19年間で数えきれないほどの生徒さんの「駈歩の壁」を乗り越えるお手伝いをしてきた経験から、駈歩が怖い理由と、その克服法を、できるだけ具体的にお話しします。
読み終わる頃には、次のレッスンで駈歩に対する気持ちが、少しでも軽くなっていたら嬉しいです。

②問題の本質:怖いのはスピードではなく「コントロールできていない感覚」
まず、多くの人が誤解していることからお話しします。
「駈歩が怖い」と聞くと、たいていの人は「スピードが速いから怖い」と思われます。
しかし、実はこれ、半分正解で半分間違いなのです。
僕がこれまで見てきた中で、駈歩を怖がる方の本当の原因は、スピードそのものではなく、「自分が馬をコントロールできていない」という感覚にあります。
これがとても大切なポイントです。
考えてみてください。
ジェットコースターはとても速いですが、多くの人は「怖いけど楽しい」と感じますよね。
なぜかというと、レールの上を安全に走っていて、自分がコントロールしていなくても大丈夫だという安心感があるからです。
しかし駈歩の場合は違います。
馬という「意思のある生き物」の上に乗っていて、しかもその動きの一部は自分の指示や姿勢でコントロールできる、という前提があります。
そのため「自分がうまくコントロールできていない」「もし馬が予想外の動きをしたらどうしよう」という不安があると、そこに恐怖が生まれるのです。
駈歩の怖さの本質は、スピードではなく「自分と馬との間にある、コントロール感の欠如」なのです。
これに気づかないまま「もっと速さに慣れなければ」とだけ考えていると、いつまでも怖さは消えません。
むしろ、コントロール感を取り戻すことに焦点を当てた方が、ずっと早く駈歩の恐怖は和らいでいきます🐴
このことを理解していただくだけでも、次のレッスンへの向き合い方が変わってくるはずです。
③原因は1つではない:駈歩が怖くなる3つ以上の理由
「コントロール感の欠如」という本質はわかっても、その裏にはいくつかの具体的な原因があります。
一つずつ見ていきましょう。
原因1:常歩・速歩の「基礎」がまだ安定していない
駈歩は、常歩・速歩の上に積み重なる、いわば3階建ての建物の3階部分です。
もし1階、2階の土台が不安定なまま3階を建てたら、それは怖くて当然です。
具体的には、
- 速歩での軽速歩がまだ安定していない
- 手綱の長さ調整がその都度ばらばら
- 脚の位置や、鐙(あぶみ)に体重を乗せる感覚がまだつかめていない
こういう土台の部分が不安定なまま駈歩に進むと、体は無意識に「まだ準備ができていない」と感じて、それが恐怖として表れます。
僕自身、駈歩が苦手だった頃を振り返ると、実は速歩の軽速歩がまだふらついていました🤷♂️
インストラクターからは「そろそろ駈歩いきましょうか」と言われて、内心「まだ速歩も怪しいのに」と焦っていたのを覚えています。
基礎ができていないまま次に進もうとすると、体は正直に「怖い」というサインを出します。
これは弱さではなく、体の防衛本能なのです。
この記事を読めば、速歩の恐怖心を軽減できますよ🐎
速歩が怖いのは才能の問題じゃない!初心者が安心して速歩に乗れる7つのコツ | かずまるブログ~馬歴19年目インストラクターのホンネ~
原因2:呼吸を止めてしまっている
これは非常に多いパターンです。
怖いと感じた瞬間、人は無意識に息を止めてしまいます。
息を止めると、体全体がガチガチに固まります。
体が固まると、馬の動きに合わせて体を揺らすことができなくなり、余計にバランスを崩しやすくなります。
バランスを崩すと、もっと怖くなります😢
もっと怖くなると、もっと息を止めます。
これは完全に悪循環です。
僕が指導していて一番多く見かけるのは、この「呼吸を止めて固まる」パターンです。
生徒さんに「今、息止まってましたよ」と声をかけると、「本当ですか、全然気づいていませんでした」と驚かれることがよくあります(笑)
原因3:過去に落馬や、ヒヤッとした経験がある
これは特に大切な原因です。
過去に落馬した経験や、馬が急に暴れて怖い思いをした経験があると、体はその記憶をしっかり覚えています。
頭では「今回は大丈夫」とわかっていても、体が勝手に緊張してしまうのです。
これは、乗馬に限らずどんな経験でも起こる、ごく自然な体の反応です。
「あの時の怖さ」がよみがえることは、決して恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。
むしろ、その記憶があるからこそ、より慎重に、より丁寧に駈歩と向き合おうとしている証拠だと私は思います。
原因4:インストラクターとの信頼関係、レッスンのペースが合っていない
意外と見落とされがちですが、これもかなり大きな原因です。
「まだ早いのに、駈歩をやらされている気がする」
「インストラクターが何を求めているかわからないまま、とりあえず言われた通りにやっている」
こういう状態だと、馬との信頼関係の前に、そもそも人(インストラクター)との信頼関係やコミュニケーションが不十分で、それが不安を増幅させていることがあります。
原因5:馬という生き物そのものへの根本的な緊張
最後に、これは意外と語られませんが、単純に「馬という、自分よりはるかに大きくて力の強い生き物」に対する、生物として自然な緊張もあります。
馬は500kgを超える大きな生き物です。
その馬が本気で走ったら、自分は絶対にかないません。
この事実を体が本能的に感じ取っていて、それが緊張や恐怖の土台になっていることもあります。
これも決しておかしいことではなく、むしろ健全な感覚だと私は思っています。

④解決方法:怖さを消すのではなく、怖さと上手に付き合う
さて、ここからが本題です。
原因がわかったところで、では実際にどうすればよいのか、具体的にお話しします。
大前提としてお伝えしたいのは、「怖さをゼロにする」ことをゴールにしないでください、ということです。
怖さをゼロにしようとすると、逆にプレッシャーになって、余計につらくなってしまいます。
目指すべきは、「怖さがあっても、それに振り回されずに乗れる状態」です。
解決法1:土台を焦らず固める
原因1でお話しした通り、速歩がまだ不安定なら、無理に駈歩を急ぐ必要はありません。
軽速歩が安定するまで、たっぷり時間をかけて大丈夫です。
インストラクターに「もう少し速歩の練習をしたいです」と正直に伝えることは、まったく恥ずかしいことではなく、むしろプロとして歓迎すべき申し出だと私は思います。
土台がしっかりしていると、駈歩に進んだときの安心感がまったく違います。
軽速歩が上手くできるコツ教えます!
教えます!軽速歩が驚くほど安定する3つのコツ🐴 | かずまるブログ~馬歴19年目インストラクターのホンネ~
解決法2:呼吸を「意識的に」続ける練習をする
原因2の「呼吸が止まる」問題への対策は、とてもシンプルです。
駈歩に上がる直前に、「はぁー」と声に出しながら息を吐くこと、これだけです。
声に出すことで、無意識に息を止めるクセを断ち切ることができます。
僕はレッスン中、生徒さんによく「駈歩に上がる瞬間に、声を出して息を吐いてみましょう」とお伝えしています。
最初は照れくさがる方も多いのですが、やってみると「体の力が抜けた気がします」と実感される方がほとんどです。
呼吸が続いていると、体が固まらないので、馬の動きにも自然に合わせやすくなります。
解決法3:過去の怖い記憶は「なかったこと」にしなくてよい
原因3の落馬経験や怖い記憶については、無理に忘れようとしないでください。
むしろ、「あの時は、こういう状況だったから怖かったのだ」と、冷静に振り返ることの方が効果的です。
そのうえで、「今回はどう違うのか」を、インストラクターと一緒に確認しながら進めていきましょう。
例えば、「あの時は屋外の広い馬場だったが、今回は狭い屋内馬場で、馬の性格も落ち着いている子」というふうに、条件の違いを具体的に整理すると、体も「今回は違う」と納得しやすくなります。
この記事を読めば、落馬の恐怖心を和らげられます👍
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解決法4:インストラクターと「今の気持ち」を正直に共有する
原因4については、解決はシンプルです。
「今、少し怖いです」と、その場で正直に伝えること。
これに尽きます。
良いインストラクターであれば、その一言で、レッスンのペースや声かけを調整してくれるはずです。
僕自身、生徒さんから「今日は少し不安です」と言ってもらえると、むしろありがたいと感じます。
なぜなら、その一言があるかないかで、その日のレッスン内容を大きく変えられるからです。
黙って我慢するより、正直に伝える方が、結果的に早く上達しますし、信頼関係もどんどん深まっていきます。
解決法5:馬という生き物を「知る」ことで緊張を減らす
原因5の、馬そのものへの本能的な緊張については、馬をもっと「知る」ことが有効です。
騎乗する前に、馬の体をブラッシングしたり、馬房で馬と過ごす時間を増やしたりするだけでも、馬に対する漠然とした緊張はかなり和らぎます。
馬がどんな性格で、どんな時にリラックスしていて、どんな時に緊張しているのかを知ることで、「得体の知れない怖い生き物」から「一緒に頑張るパートナー」へと、イメージが変わっていきます。
これは僕が19年間、ずっと大切にしてきたことでもあります。
馬の気持ちに寄り添いたいならこの記事をチェックしてください🐎
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⑤具体的アクション:今日からできる5つのこと
さて、ここまでの内容を踏まえて、今日から、次のレッスンからすぐに実践できる具体的なアクションをまとめます。
アクション1:駈歩に上がる直前に、声に出して「はぁー」と息を吐く
これだけで、体の余計な力みがかなり抜けます。
アクション2:レッスン前に「今日は少し駈歩が不安です」とインストラクターに伝える
正直に伝えることが、一番の近道です。
アクション3:駈歩の練習前、馬とのふれあいの時間を意識的に増やす
ブラッシングや、優しく声をかける時間を作ってみてください。
アクション4:駈歩の練習は「短い時間で区切る」ようお願いする
長々と駈歩を続けるのではなく、「10秒だけ」「馬場の半周だけ」というふうに区切って練習することで、心理的なハードルがぐっと下がります。
アクション5:駈歩ができた日は、その日のうちに「できたこと」を書き留める
小さな成功体験を記録することで、「自分は少しずつ前に進んでいる」という実感が積み重なっていきます。
これは私が生徒さんによくお勧めしている方法で、続けていくと、数ヶ月後に見返したとき、自分がどれだけ成長したかがはっきり見えて、大きな自信になります📝
どれも、今日からすぐに始められることばかりです。
一気に全部やろうとしなくても大丈夫です!
まずは1つだけでも、次のレッスンで試してみてください!

⑥まとめ:怖さは、あなたが真剣に乗馬と向き合っている証拠
長々とお話ししてきましたが、最後にもう一度お伝えしたいことがあります。
駈歩が怖いというその気持ちは、あなたが乗馬というものに、真剣に、丁寧に向き合っている証拠なのです。
怖がっている自分を責める必要はまったくありません。
僕自身、19年前の駈歩が怖かった頃の自分を思い出すと、あの時の怖さがあったからこそ、今こうして丁寧に馬と向き合えるようになったのだと思います。
怖さをゼロにする必要はありません。
怖さと上手に付き合いながら、少しずつ、自分のペースで進んでいけばそれでよいのです。
今日お話しした5つのアクション、どれか1つでよいので、次のレッスンで試してみてください。
きっと、少しずつですが、駈歩に対する気持ちが変わっていくはずです。
あなたのペースで、焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。
応援しています😊🐴
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