今回はとても感銘を受けた書籍を紹介したいと思います。
片野ゆかさんというノンフィクション作家の方が書かれた本です。
片野さんは主に犬や猫や動物園の動物等を扱う内容のノンフィクションを執筆してきました。
ほぼ、馬の知識は無い状態で引退競走馬についての取材が始まりました。
今までタブーとされてきた競走馬の引退後のドキュメンタリーです。
様々な関係者との出会いややり取りを通じて、表に出てこない貴重な話もありました。
目を背けたくなる内容もありましたが、考えさせられる内容でもありました。
自分自身の仕事ともつながる内容の書籍だったので、一気に読み進めることができました。
この書籍を読んで感じたことを記していきたいと思います。
目次
1.引退競走馬のほとんどは行方不明になるという現実
競走馬が引退すると繁殖や乗馬になる馬もいますが、その他のほとんどの馬は「行方不明」になります。
正確には行方を知るすべが一般の人には分からないという意味です。
G1レース等の大きなレースを勝った馬や良い血統の馬は、引退した後はどうなるかはメディアで報道されることが多いです。
しかし、ほとんどの馬は人知れず引退し、人知れず行方知れずになってしまっている。
この現実に衝撃を受けた著者が様々な引退競走馬の受け皿となる、牧場や組織を取材して、自らも馬主になったりしながら、問題の核心に触れていくというストーリーでした。
僕も乗馬クラブで働き始めた当初は、この引退競走馬の現実を知りませんでした。
引退競走馬のほとんどはどこかで余生を過ごせていると漠然と思っていました。
しかし、馬を飼育するためには人と同じく寝床が必要です。食べ物や飲み物ももちろん必要です。
病気もするし、予防接種や装蹄も必要です。
そう、とにかく馬1頭管理することは非常にお金がかかります。
長年働いてみて、ようやくこの現実に気づかされました。
2.引退競走馬の現状を変えたい人はたくさんいる
そんな中でもこの悲しい現状をなんとかしたいと、日々奮闘している人が多くいました。
その中には元JRAの名調教師、角居勝彦氏もいました。
馬を養うことはお金がかかります。
そのお金を得るために国からの助成金や寄付やクラウドファンディングを活用して、なんとかその命を繋ごうとしている人たちがいます。
日本競馬の統括組織であるJRAも引退競走馬の今後についての救済方法についても、馬を救う方針を打ち出しています。
RRC(引退競走馬杯)という競走を引退してから3年以内の競走馬で競技会を行い、優勝馬には高額の賞金が付与されます。
僕も去年出場しましたが、出場人馬のレベルが高く入賞することは叶いませんでした。
引退競走馬を救う受け皿を増やすことや、興味関心を持った人も増やし、引退競走馬をリトレーニングできる人材を増やすことが大切だと思いました。
3.馬を救いたいという思いが国を動かす
こうした馬をなんとか救いたいという人々の想いが国を動かすきっかけを作りました。
2022年11月に国会で引退競走馬のセカンドキャリアについての法案が審議されました。
人間社会の中での活躍方法を探り、その活動を支援することが国の方針の一つになったのです。
引退競走馬の余生を考えることは、JRAを始め所轄省庁である農林水産省にとっても取り組むべき課題になりました。
この動きは引退競走馬を救いたいという願いや実際に起こした行動によって国が動いたとも言えます。
今後、このムーブメントは広がっていくと思いますが、まだまだ知らない人も多いと思うので、僕ら乗馬クラブのスタッフも、微力ながら協力できることがあればと思います。
まとめ
内容をかいつまんでお伝えしたので、詳しくは書籍を読んでいただきたいのですが、非常に読みやすく、内容もわかりやすかったです。
本書に登場する馬関係者の方もそうですし、著者の片野さんの情熱が伝わる良書でした。
僕も乗馬クラブで働いているので、もちろん他人事とはとらえず、自分にできることがなにかを考えて行動できるようにしていきたいと思います!
コメント