こんにちは!かずまるです。
早速ですが、競馬と聞いて皆さんはどういったイメージをお持ちでしょうか?
ギャンブル?
スポーツ?
かっこいい!!
なんか怖い😢
このようにポジティブなイメージもあればネガティブなイメージも多いと思います。
今回紹介する「ザ・ロイヤルファミリー」著者:早見 和真はこの競馬の魅力を表裏両方から光を当ててくれています。
僕は18年間乗馬クラブでインストラクターとして働いています。
現役乗馬インストラクターの目線でこの著作を主観で解説していこうと思います!
乗馬クラブにいる馬のほとんどは引退競走馬です。
僕は日ごろから引退競走馬である彼ら彼女らに接しています。
そんな僕から皆さんにお伝え出来る馬のことについて伝えられることがあると思い、今回の記事を書こうと思いました!
この記事を読んでから、ドラマや小説を読むとまた違った見方ができるようになると思います。

目次
📖 本の紹介
まず本の紹介ですが、『ザ・ロイヤルファミリー』は、2019年10月に単行本として刊行された長編小説で、文庫化もされています。
著者の早見和真氏が、競馬の世界を舞台に、馬主一家とその秘書を中心に、20年間にわたる継承と葛藤を描いた作品です。
また、本作は第33回山本周五郎賞を受賞するなど、文学的評価も高い作品です。
「馬主」「競馬」「血統」など、競馬好きにはたまらない要素満載ですが、競馬を知らない読者にも“家族・夢・継承”という普遍的テーマで楽しめる構成になっています。
📝 あらすじ
以下、ネタバレ控えめのあらすじです。
- 主人公は 栗須栄治(くりす えいじ)、税理士として働いていた若い男。父を亡くし、喪失と空虚を抱えながら日々を過ごしていた中、ある日、友人の縁で馬券を当てたことをきっかけに、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の社長 山王耕造に拾われ、秘書として働くことになります。
- 山王耕造は、競馬の世界に情熱を注ぐ馬主であり、自らの所有馬すべてに「ロイヤル」を冠名としてつけるほどのこだわりを持っています。彼の夢は、自らの馬で日本の大レース(有馬記念など)に勝つこと。
- 栄治は馬主として未経験の山王とともに、血統・調教・レースといった競馬の世界に足を踏み入れ、秘書兼マネージャーとして奔走します。彼の視点から、馬・人・運命が入り混じる世界が描かれています。
- 物語はそれだけに留まらず、山王の息子・孫へと世代が受け継がれていく“夢の継承”のドラマへと発展していきます。血統が馬に引き継がれるように、人の想いも次の世代へと流れていく様を重厚に描いています。
- 最終的には、数々の挫折・敗北を経て、馬主一家とその馬たちが“勝利”や“承継”をめぐるクライマックスへと向かいます。馬主・競馬の世界を通して「親から子へ」「夢から夢へ」つながる物語です。

🎯 なぜこの本が読み応えあるのか
- 競馬という一見専門的な舞台ながら、物語の根底には「家族」「血」「継承」「夢」が流れており、多くの読者にとって共感できるテーマが詰まっています。
- 馬主・競走馬・秘書・調教師・騎手など、多様な立場の人々が絡む群像劇で、読み応えがある一方、文庫版600ページ以上というスケールにもかかわらず読み進めやすいという評価もあります。
- “血統”という言葉が頻出しますが、それはただ馬の話だけではなく、「人から人へ何を受け継ぐか」というメタファーとして機能しており、深い味わいがあります。
🐎重要ポイント3選
1.1頭の競走馬には想像以上に関係者やファンの想いが詰まっている
1頭の競走馬が無事デビューできるまでには様々な人が関わっています。
生産→育成→調教→レース→引退後
までに最低でも50人以上が関わっています。
大規模牧場や有名厩舎でか、関わる人数は100人を超えることも珍しくありません。
そして、競馬場ではその競走馬を応援するファンがいます。
有名になればより多くのファンがその馬に感情移入する人が増えていきます。
無事に怪我や病気なくデビューを迎えられる馬は少ないといいます。
普段表面上は見えていない関係者の内情もこの小説では味わうことができます。
2.ただのギャンブルではなく、夢を叶えようとする思いに胸熱!!
競馬は確かにギャンブルですが、それだけでは語れない熱い思いがあります。
1頭の競走馬がゴールを目指して懸命に走る姿には胸を打たれます。
競馬場に行ってみると分かりますが、特に大レースになればなるほど観客の温度感がものすごいです。
それは、ギャンブルだからだけでなく、その馬に自分を重ね合わせて応援しているからこそ尋常ではない熱い思いがほとばしるのだと思います。
もちろんその馬に携わる関係者も同様、いやそれ以上でしょう。
僕たちが子供のころに感じていた純粋な気持ちをこの小説は思い出させてくれるでしょう。
3.継承の大切さを実感できる
人間と同様に馬の世界にも「継承」という概念が存在します。
優秀な競走馬は引退すると種牡馬という仕事が待っています。
優秀な血を次代に引き継ぐという大切な仕事です。
競馬関係者も思いを次代の競走馬に思いを託します。
そういった血が織りなすドラマを体感することができます。
だから、競馬は感情移入する人が多いのだと思います。

現役乗馬クラブインストラクターが感じること
最初にも書きましたが、僕らは引退競走馬を扱っています。
その馬たちは病気やケガやレースで勝てなくて引退した馬たちです。
この小説を読んでいると、乗馬クラブにたどり着いたこの馬たちにも、思いを託していた人たちがたくさんいることを想像すると、立派な乗馬にしなければという思いが強くなりました。
もちろん引退した馬たちなので、基本大人しい馬が多いですが、やはり血は争えないというか血統表を見ると、おおよそどんな性格な馬かを想像することができます。
できるだけ先入観を持たずに接していますが、やはり血統が近い馬は似ている馬が多いです。
しかし、そうではない馬も当然いるので、それぞれの性格や特性に合わせて乗馬にするための再調教をおこなっていきます。
感度が良い馬、のんびりしている馬。
障害物を飛越することが得意な馬、馬場馬術が得意な馬。
速く走ることが得意な馬、遅く走ることが得意な馬。
とにかくそれぞれの馬の長所を見つけて伸ばすことを常に意識して調教しています。
今後も馬との出会いを楽しみに、馬にとって幸せな余生を過ごせるように頑張っていきます!!
では!


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