「急に馬がビクッとしてヒヤッとした…」
「何もしていないのに、なぜか馬が落ち着かない…」
乗馬レッスン中、こんな経験はありませんか?
馬はとても賢く、そしてとても臆病な動物です。
人間にとっては何気ない出来事でも、馬にとっては“命の危険”に感じることが少なくありません。
ここを出発地点にしていかないと、馬=怖いという先入観にとらわれてしまいます。
この記事では、
乗馬クラブで18年以上現場に立ってきたインストラクターの視点から、
レッスン中によくある「馬が怖がる場面⑪選」と、
その具体的な対策・考え方をわかりやすく解説します。
「馬が怖がる=自分が悪い」と思わなくて大丈夫。
理由を知るだけで、馬もあなたもグッと安全になります。
この記事を読み終えた後に下記の記事を読むと、より理解が深まります🐎
『馬のきもち』を読んだら乗馬が別競技になった話|インストラクターが本気で推す“馬目線”の教科書 | 馬と向き合って18年

目次
① 大きな物音が鳴る
実際の事例
・工事現場の金属音
・落雷
・スピーカーのハウリング
・クラブハウスのドアが勢いよく閉まる音
なぜ怖がる?
馬は「音=危険の前兆」と本能的に判断します。
特に高くて突然の音は警戒心を刺激してしまいます。
草食動物なので、基本的に捕食者に狙われる危険性があります。
対策
- まずは手綱を短く持ち直し、脚で優しく包む
- 馬が止まったら無理に動かさず、愛撫をしてあげて落ち着く時間を与える
- 「大丈夫だよ」という一定の声掛け
👉 騎乗者が慌てるほど、馬は不安になります。
馬が動揺している時ほど、人は冷静に。
これが鉄則です🐎
② 傘が突然開く
実際の事例
・見学者が急に傘を開く
・雨上がりに傘を畳む音
なぜ怖がる?
傘は
- 急に大きくなる
- 形が不自然
- 音が出る
という馬にとって最悪の三拍子。
馬が傘を怖がるということを知らない人は多いです。
悪気なく傘を勢いよく開いてしまうことがよくあります。
対策
- 可能なら事前に「今日は傘があります」と共有
- 傘を持つ人はゆっくり動く
- 馬が見る側に無理に近づけない
馬の特性を事前に知っておくことが大切です。
レッスンに参加する方も、見学者も馬の特性を最低限知っておくことが、事故を未然に防ぐことになります。
③ カラフルな色(黄色・赤・青など)
実際の事例
・黄色のレインコート
・赤いコーン
・青いブルーシート
なぜ怖がる?
馬はコントラストに敏感。
特に自然界に少ない原色は警戒対象です。
対策
- 初心者レッスンでは派手な服装を避ける
- 怖がったら一度通り過ぎてから戻る
- 見せて慣らす「脱感作」が有効
人と馬が見ている世界は根本的に違います。
まずは、馬が見えている世界を理解することが大切です。
ここが大前提です。
そこから人馬との信頼関係が始まります。
④ 普段ないものが急にある
実際の事例
・新しい障害物
・置きっぱなしの脚立
・洗い場のホース
なぜ怖がる?
馬は「昨日と違う=危険かも」と考えます。
対策
- 近づく前に一度立ち止まる
- 馬が見る時間を作る
- 無理に進まず円運動で距離を調整
馬は「見る」ことでその対象物が危険かどうかを判断します。
馬は安心すると、動き始めます。
僕たちインストラクターは常に馬が見ている世界を想像し、危険なものを排除できるように目を光らせています。
⑤ 雨・雪などの急な気候変動
実際の事例
・急な雨音
・雪が風で舞う
・雷を伴う天候
なぜ怖がる?
視界・音・地面の感触が一気に変わるため。
対策
- 常歩でリズムを作る
- 騎乗者が深呼吸して力を抜く
- 無理せずレッスン内容を下げる判断も大切
雨や雪や風などが強い時や雷が鳴っている時は、馬がびくびくしてしまいます。
馬は特に耳の感覚が敏感です。
馬は捕食者から逃避するために、音を聞き危険を感じたらすぐに逃げられるように耳が発達しています。
イヤーネット(耳を覆う布)やメンコ等の耳を覆うものを装着して、馬が安心できるようにしましょう。

⑥ 急に人が走り出す
実際の事例
・子どもが走る
・スタッフが急ぎ足になる
なぜ怖がる?
「走る=追われる」と認識する本能。
対策
- 人側が動きをコントロール
- 馬の視界に入る場所では特に注意
- 馬が反応したらすぐ脚で優しく支える
とにかく、乗馬クラブでは騎乗者も見学者も、もちろん我々インストラクターも「ゆっくり」行動することが求められます。
「急な」動きは馬を怖がらせます。
⑦ なにかが飛んでくる
実際の事例
・ビニール袋
・落ち葉
・帽子が風で飛ぶ
なぜ怖がる?
「空から来るもの」は捕食者の可能性大。
対策
- 手綱を引かず、脚で馬体を支える
- 馬の首の動きを止めすぎない
- 落ち着いたら褒める
パニックになっている時は、「じっとする」ことが大切です。
手綱を引っ張らずに、とにかく「じっと」しましょう🐎
対象物が視界から消えると、次第に馬が落ち着くはずです。
⑧ ヘリコプターが飛んでくる
実際の事例
・救急ヘリ
・自衛隊機
・観光ヘリ
なぜ怖がる?
音が上から・不規則に来るため。
対策
- 無理に続行せず一時停止
- 可能なら屋内馬場へ移動
- 騎乗者同士で距離を取る
空からの音に対しては、急に馬が暴れだすことは経験上多くはないですが、音が近づいてきたら「馬が暴れる可能性あるかも」と思っていた方が良いです。
この前提があれば、警戒心を維持したまま事前に馬が怖がることを防ぐことができます。
⑨ 前の馬が暴れる
実際の事例
・急に立ち上がる
・走り出す
・内へ切れ込む
・跳ねる
なぜ怖がる?
馬は群れの動きを強く意識します。
前の馬が普段と違う行動をしたときに驚きがちです。
対策
- 前の馬と距離を取る
- 自分の馬のリズムを優先
- 視線を前に固定しすぎない(周囲の状況を冷静に確認する)
馬にもよりますが、前後の馬が突発的に暴れると、自分が騎乗している馬も暴れる可能性が高くなります。
自分にも危害が加えられるんじゃないかと騎乗馬が不安になってしまうからです。
できるだけ部班レッスンの時は、前後の馬匹と距離を取るようにしましょう。
そして、視線を上げてレッスンの流れを冷静に判断できるようになると、危険を未然に回避できるようになるでしょう。
⑩ 前の馬が蹴ってくる
実際の事例
・距離が近すぎた
・発情や機嫌の問題
対策
- 必ず1頭分以上の距離(超重要!!)
- 近づいたら即修正
- 蹴り癖のある馬は事前共有
近づかれたら蹴る馬は実際います。
1.部班が嫌いな馬
2.発情中の牝馬(メス馬)
3.過去に後ろの馬に噛まれたことがある馬
大きく分けて、上記の馬匹には注意が必要です。
部班レッスンで大切なことは、「安全な距離をとること」です。
大体のことは距離を取ることで解決します。
お互いの距離感を大切にすることは人間関係も一緒ですね😊
⑪ 後ろの馬が噛みに来る
実際の事例
・列が詰まりすぎ
・後続馬がイライラ
対策
- 後ろを確認する癖をつける
- 止まるときは斜めにずらす
- インストラクターに即報告
⑩と同様に距離感がなによりも大切です。
レッスンするインストラクターも各騎乗馬の癖を把握していく必要があります。
「まずは馬一頭分の距離感」を保つ。
これをそれぞれ心がけましょう😊
下記の記事を読むと、馬目線で騎乗できるようになります🐎
イラストでわかるホースコミュニケーションを読んでの解釈|馬が変わる10の実践ポイント【初心者必読】 | 馬と向き合って18年

まとめ
馬が怖がるのは「悪い子」だからではありません。
**本能として“身を守ろうとしているだけ”**です。
怖がる理由を知り、
正しい距離・声掛け・姿勢を意識するだけで、
事故のリスクは大きく下げられます。
「馬の気持ちがわかる騎乗者」は、
間違いなく上達も早いです。
馬が怖がったり、暴れたりする理由がはっきりすれば、騎乗者も必要以上に怖がって乗ることが少なくなります。
まずは、馬を知ることから始めましょう!!


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