ビンタ眼鏡

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今からさかのぼること約8年前。

僕は失意の中にいました。

そのころ仕事が忙しく、夜遅くに帰る日々が続きました。

上司ともそりが合わず、毎日怒られていました。

徐々に精神的に追い詰められていきました。

そんなある日、緊張の糸がぷつりと切れてしまい、仕事に行けなくなりました。

人間本当に病んでしまうとなにも考えられなくなります。

朝起きるのもできなくなり、職場近くまで行けても、仕事のことを考えるとその先に進めなくなるのです。

僕はふさぎ込み、部屋にひきこもる毎日を送っていました。

なにもかも嫌になり、両親からの心配の連絡も煩わしく感じるほど気を病んでしまいました。

そんなとき、部屋のドアを激しく叩く音が聞こえました。

嫁さんがうじうじしている僕に腹を立て、部屋から連れ出そうとしたのです。

「ええ加減にしろよ!しっかりせえよ!!」

的なこと言われた記憶があります。

外から鍵をこじ開けられ、強引に腕を引っ張られました。

僕はそれを振りほどこうとし、腕を大きく振りました。

彼女はブチ切れ、その右手を思いっきりふりかぶり、ビンタをお見舞いしました。

僕の買ったばかりのゾフの眼鏡は宙を舞い、右のレンズが部屋の隅に飛んでいきました。

人生で初めて本気でビンタされました。

お互い興奮していたので、その時に痛みを感じませんでしたが、徐々に痛みを感じるようになりました。

それはビンタをされたことによる感覚的な痛みももちろんそうですが、家族や職場のスタッフに対しての申し訳なさや色々な感情が押し寄せてきました。

その日を境に少しずつ周りのことを考えられるようになってきました。

結局2週間休んで、その後職場復帰を果たし、今も色々ありながら元気に働いています。

もし、あの渾身のビンタがなければ僕の人生どうなっていたかわかりません。

人間年を取ると、本気で接してくれる人が減ってきます。

時には厳しく接してくれる人が家族にいてくれたことに感謝です。

ありがとう、よめめ

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