乗馬クラブに新しくやってきた元競走馬。
毛ヅヤも良くて、体も引き締まっていて、
「おお…さすがサラブレッド!」
と思うことも多いですよね。
でも実際に扱ってみると…
「えっ、引っ張る力すごくない?」
「テンション上がると速すぎる!」
「思ったより繊細でビックリ!」
なんて経験をしたことはありませんか?
実はこれ、元競走馬あるあるなんです。
なぜなら競走馬はこれまで
- 速く走ることが正解
- 人の合図=スピードアップ
- 止まるより前に進む
という世界で生きてきました。
つまり乗馬クラブに来たばかりの元競走馬は、
まだ「乗馬のルール」を知らない状態。
でも安心してください!
元競走馬は
- 運動能力が高い
- 頭が良い
- 仕事への意欲が強い
という、とんでもないポテンシャルを持っています。
扱い方さえ間違えなければ、
最高の乗用馬に成長する可能性を秘めているんです!
今回は乗馬クラブで長年馬を扱ってきた経験から、
「引退したての競走馬を扱うときに知っておきたい7つのポイント」
を、できるだけわかりやすく解説していきます!
元競走馬に関わる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事を読むと、現実を知ることができます🐎
【感想】セカンドキャリア ~引退競走馬をめぐる旅~ 理想と現実の先にはざまで | 馬と向き合って18年

目次
①まず知っておきたい!競走馬と乗用馬の違い
まず最初に理解しておきたいのは、
競走馬の常識と乗用馬の常識はまったく違う
ということです。
競走馬の世界では
- 前に出る → 正解
- 速く走る → 正解
- 騎手が乗る → レースの準備
という環境で育っています。
つまり元競走馬にとっては
「ゆっくり歩くこと」の方が難しい
なんてこともあるんです。
乗馬クラブに来たばかりの馬は
- 脚の意味
- 手綱の意味
- 乗馬のリズム
をまだ理解していません。
なので、「この馬、言うこと聞かないな」ではなく「まだ乗馬の言葉を知らないんだな!」くらいの気持ちで接してあげることが大事です。
この考え方だけでも、馬への接し方はかなり変わりますよ!
②急な動きは「あるある」です
元競走馬を扱うときは、急な動きは普通にあると思っておきましょう。
競走馬はとても反応が敏感なので、
- ビニール袋
- 急な音
- 他の馬の動き
こういったちょっとしたことでも
急に横に飛んだり、前に出たりすることがあります。
でもこれは、気性が悪いわけではありません。
むしろ、反応が良い=能力が高いということでもあります。
扱うときは
- ヘルメット、手袋を着用
- 馬の肩の横に立つ
- 無理に抑え込まない
この3つを意識すると安全です。
特に注意したいのが、馬の真正面に立つこと。
元競走馬は前に出る力が強いので、前に立つと引きずられる危険があります。
基本ポジションは、「肩の横」
これを覚えておきましょう!
③曳馬はゆったりテンポで!
元競走馬を曳くとき、ついつい人が早歩きになっていませんか?
実はこれ、元競走馬をテンション上げる原因になります。
競走馬は
- 大きな歩幅
- 速いテンポ
で動くことに慣れています。
なので人が早歩きすると、「お、走る時間かな?」と思ってしまうことがあるんです。
曳馬のポイントは
- リードは短め
- 人は肩の横
- 一定のリズム
です。
ポイントはズバリ、「落ち着いたリズム」
人が落ち着くと、馬もだんだん落ち着いてきますよ!
逆に人が常に慌てていたり、焦っていると馬もそわそわしたり、パニックになりやすくなります🐎
馬と仲良くなる方法を知れます!🐎
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④装鞍は慌てずゆっくり!
元競走馬にとって、鞍=走る合図という意識が残っていることがあります。
なので、装鞍のときに
- そわそわする
- 体を動かす
- テンションが上がる
こともあります。
ここで慌ててしまうと、馬もさらに落ち着かなくなります。
特に気をつけたいのは、腹帯の締め方。
一気に締めるのではなく
軽く締める
↓
少し歩かせる
↓
もう一度締める
という感じで進めると、馬も落ち着きやすくなります。
また、鞍の位置も重要です。
前過ぎても後ろ過ぎても、馬は落ち着きません。
鞍を乗せた後は、必ず全体のバランスを考えて、必要であれば乗せ直しましょう!

⑤運動不足は爆発のもと!
引退したばかりの競走馬は、とにかく体力がすごいです。
そして、比較的若い馬が多いので走りたい馬が多いです。
しかも環境が変わると、ストレスも溜まりやすいので
- 放牧明け
- 数日休んだ後
- 寒い日
このあたりはテンションが上がりやすいです。
そんなときは、「今日はちょっと元気そうだな」くらいの軽い感覚ではなく、「今日は注意して扱おう」くらいの意識があると安全です。
馬はルーティンが好きなので
- 毎日同じ流れ
- 同じ時間に運動
- 落ち着いた環境
を作ってあげると、どんどん安心していきます。
⑥口向きは「ケンカしない」
元競走馬は
- 強いハミ
- 強い手綱
で乗られていた経験がある馬も多いです。
そのため最初の頃は
- 手綱に抵抗する
- 頭を上げる
- 口が硬い
なんてこともよくあります。
ここで強く引いてしまうと、完全に綱引きになります。
そして綱引きは、だいたい馬が勝ちます。笑
なんせ一馬力という言葉があるくらいなんで😊
大切なのは
- 前進気勢
- バランス
- 軽いコンタクト
です。
止めようとするより、理解してもらうという意識が大事です。
⑦焦らず第二のキャリアを作る
乗馬クラブでは「早く乗れる馬にしたい!」と思うこともありますよね。
でも元競走馬は、教育の方向が違うだけ。
能力はとても高い馬が多いです。
焦らず
- 地上作業
- 基礎運動
- 小さな成功体験
を積み重ねていくことで、本当に素晴らしい乗用馬になります。
実際、馬場馬術や障害馬術で活躍している馬の中には、元競走馬もたくさんいます。
馬にとっては、第二のキャリアのスタート。
ゆっくり育てていきましょう!
合わせて読んで馬のことをもっと知ろう!!
『馬のきもち』を読んだら乗馬が別競技になった話|インストラクターが本気で推す“馬目線”の教科書 | 馬と向き合って18年
僕が新馬のトレーニングで感じたこと
僕はこの18年のインストラクター人生の中で、引退競走馬を合計14頭調教してきました。
最初の頃に比べれば、幾分ましになってきましたが、やはり引退したての馬には僕自身に恐怖心があります。
その恐怖心の正体を考えてみると一つの答えにたどり着いました。
それは「その馬のことを知らない」からです。
どんな性格で、どんなことに反応して、どんな動きをするのかが分からないから、こちらも警戒心があります。
馬も初めての環境で、初めての人と触れ合うわけで不安で一杯なはずです。
なので、僕はできるだけ馬を知ろうと努力するし、馬にとっても安心できる関係性を構築できるように努力しています。
人参を与えたり、優しく声をかけたり、撫でたりする。
これを毎日繰り返すうちに、少しずつ人馬の関係性が信頼で結ばれるようになります。
少しでも、仲良くなって心を開いてくれたら本当にうれしいものですよ!🐎

まとめ
引退したばかりの競走馬を扱うときは、「乗用馬と同じ感覚で扱わないこと」
これがとても大切です。
今回のポイントをまとめると
- 競走馬の常識を理解する
- 急な動きはあるものと思う
- 曳馬はゆったりテンポ
- 装鞍は慌てない
- 運動不足に注意
- 口向きで戦わない
- 焦らず再教育する
元競走馬は
- 運動能力
- 頭の良さ
- 仕事への意欲
を兼ね備えた、とても魅力的な馬です。
時間をかけてあげれば、きっと最高のパートナーになります。
ぜひ安全第一で、馬の新しいキャリアを支えてあげてください!
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